ジブラルタル海峡(読み)ジブラルタルカイキョウ(英語表記)Strait of Gibraltar

デジタル大辞泉 「ジブラルタル海峡」の意味・読み・例文・類語

ジブラルタル‐かいきょう〔‐カイケフ〕【ジブラルタル海峡】

ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の間にある海峡地中海大西洋を結ぶ軍事交通要地ジブラルタル岩山対岸のアルミナ岬はギリシャ時代には「ヘラクレスの柱」とよばれ、アトラス神が天を支える柱といわれた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ジブラルタル海峡」の意味・読み・例文・類語

ジブラルタル‐かいきょう‥カイケフ【ジブラルタル海峡】

  1. ヨーロッパ西南端のイベリア半島南端とアフリカ大陸北西端のモロッコとの間にある海峡。地中海と大西洋を結ぶ通商・軍事上の要衝にあたり、北岸にはイギリスの海軍基地ジブラルタル、南岸にはスペインの軍港セウタがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジブラルタル海峡」の意味・わかりやすい解説

ジブラルタル海峡
じぶらるたるかいきょう
Strait of Gibraltar

ヨーロッパとアフリカ両大陸の間にある海峡。大西洋と地中海とを結び、その間の長さは約57キロメートル。幅は、イベリア半島最南端タリファ岬の南部プンタ・マロキと、対岸のモロッコのアルカサル・エ・セリルとの間がもっとも狭く約14キロメートル、大西洋側の出入口にあるトラファルガー岬とモロッコのスパルテル岬との間がもっとも広く約45キロメートルである。海上交通および軍事上きわめて重要な地で、地中海側出入口のヨーロッパ大陸岸にイギリス直轄領の要塞(ようさい)ジブラルタルが、アフリカ大陸岸にスペイン領の軍港セウタがある。水深は西端のスパルテル岬沖でもっとも浅く345メートル、深い所はジブラルタルとセウタの間で942メートル。表面潮流は大西洋から地中海へ、毎時平均4キロメートルの速さで流れ込み、下層には塩分濃度の高い反対流がある。両岸の岩山、すなわち「ジブラルタルの岩」とセウタ側のアチョ山は「ヘラクレスの柱」とよばれる。

田辺 裕・滝沢由美子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジブラルタル海峡」の意味・わかりやすい解説

ジブラルタル海峡
ジブラルタルかいきょう
Strait of Gibraltar

地中海大西洋を結ぶ海峡。ヨーロッパのスペイン最南部と,アフリカのモロッコ最北西部の間にある。東西全長は約 58km,幅はスペインのマロキ岬とモロッコのシレス岬の間が最も狭く,約 13km。西端の幅はスペインのトラファルガル岬からモロッコのスパルテル岬までの約 43km,東端の幅は古くから「ヘラクレスの柱」と呼ばれる 2地点の間の約 23km。ヘラクレスの柱とは,北の柱がジブラルタルの岩とされ,南の柱がスペインの飛び領セウタにあるアチョ丘もしくはモロッコのへベルムサ山とされている。北方から地中海西部に入り込んだ寒気団が,低地で強い東風となってこの海峡を吹いており,この風はレバンタールと呼ばれる。海峡の表面海流は,この風の影響を受けないかぎり海峡中央部を通って東へと流れている。一方,水深約 120m以上の深層では,重く低温で塩分濃度の高い海流が西へ向かって流れている。表面海流の強さが深層海流にまさるため,地中海は縮みゆく塩水湖と化すことなくその姿をとどめている。ヘラクレスの柱は,古代ギリシア・ローマの世界の最西端であった。ジブラルタル海峡は戦略的,経済的要衝として,昔から大西洋航海に大いに利用され,今日でも南ヨーロッパ,北アフリカ,西アジアにとって重要な航路となっている。この地域の歴史はジブラルタルの岩の領有権をめぐる争いと深く結びついている。(→ジブラルタル

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ジブラルタル海峡」の意味・わかりやすい解説

ジブラルタル[海峡]
Strait of Gibraltar

地中海西端,ヨーロッパとアフリカ両大陸間にある軍事上重要な位置を占める海峡。地中海から大西洋への出口にあたり,東の入口にある二つの岬(ジブラルタルのフェルセンとセウタのジャバル・ムーサ)はギリシア時代〈ヘラクレスの柱〉とよばれていた。最狭部は15km,最深部はセウタ沖で942m。歴史的には,イベリア半島にイスラム勢力が侵入したルートであり,現在では北岸にイギリス海軍基地,南岸にスペインの軍港セウタが位置する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ジブラルタル海峡」の意味・わかりやすい解説

ジブラルタル海峡【ジブラルタルかいきょう】

ヨーロッパとアフリカの境,スペインとモロッコの間の海峡。地中海と大西洋を結ぶため古来軍事上の要衝である。東西約60km,幅15〜40km。表面潮流は西から東に流れる。南岸(モロッコ側)にはスペインの軍港セウタがあり,北岸(ジブラルタル)に英軍基地がある。ギリシア時代には東の入口にある二つの岬が〈ヘラクレスの柱〉と呼ばれた。
→関連項目タンジール

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のジブラルタル海峡の言及

【イベリア半島】より

…北および西を大西洋に,南と東を地中海に囲まれ,半島の付け根,北東部は幅約435kmにわたり,ピレネー山脈によってヨーロッパ大陸部と画されている。南西端では最狭部14kmのジブラルタル海峡をはさんでアフリカ大陸と対するが,同海峡は,ヨーロッパへのイスラム文明伝播の歴史的回路の一つであった。総面積の84.7%をスペインが,15.2%をポルトガルが,残りを英領ジブラルタルとピレネー山脈中のアンドラとが占める。…

【水運】より

…北海の荒波に耐える頑丈な構造,高い舷側と船尾舵をもつハンザのコッゲ船が活躍した。13世紀末にそれまでモロッコのイスラム勢力の支配下にあったジブラルタル海峡がキリスト教徒側の手に落ち,地中海と北海を結ぶ航路が成立した。東方物産がイングランドやフランドルへ運ばれ,逆に毛織物や原毛が地中海へ運ばれた。…

【地中海】より

…〈地中海〉という言葉は,ラテン語のメディウスmediusとテラterraに由来し,文字どおり〈大陸に囲まれた海〉のことで,北極海,オーストラリア・アジア間の地中海,ヨーロッパ地中海(広義には黒海を含む),紅海,瀬戸内海などがある。一般には,地中海といえばヨーロッパ地中海をさし,狭義でのヨーロッパ地中海(ラテン語では内海Mare Internumと呼ばれていた)は,ヨーロッパ南岸,アジア西岸,アフリカ北岸に囲まれ,面積約297万km2,東西3860km,南北700kmに及び,西はジブラルタル海峡で大西洋に,北はダーダネルス海峡でマルマラ海に,南東部ではスエズ運河を通じ紅海と結ばれている。
【地中海地域の自然と生活】

[地中海の形成と地形]
 地質学的にみると,地中海は現在の旧世界の部分に,石炭紀から第三紀初頭にかけて(約3億~5000万年前),東西にひろくのびた形で存在していたテチス海の最大の残存であって,第三紀以降のユーラシア大陸の造山運動によって,この海は分断され狭められたのである。…

※「ジブラルタル海峡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android