メロエ文字(読み)メロエもじ(その他表記)Meroitic writing

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メロエ文字」の意味・わかりやすい解説

メロエ文字
メロエもじ
Meroitic writing

前2世紀頃~後4世紀頃にメロエを首都とするクシュ王国で用いられていた文字エジプト象形文字もとにしてつくられたもので,石碑などに刻まれる聖刻体と,普通の筆記用の草書体との2書体が知られる。母音字と子音字があり,アルファベット性格をもっていたことがわかる。しかし解読は進んでおらず,構造系統などはわからない点が多い。

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世界大百科事典(旧版)内のメロエ文字の言及

【クシュ王国】より

…また,クシュ人は初めエジプトのヒエログリフを用いたが,後にそれを少しずつ変えて,彼ら自身の言葉に適応させるようになり,やがて自らの文字を発明した。それは草書体のメロエ文字であるが,まだ解読されていない。 クシュは4世紀中ごろ,エチオピアのアクスム王国に滅ぼされた。…

【メロエ】より

…メロエ王国は,エジプト第25王朝を興したヌビアのナパタ王国より発展したもので,ナイル川第4急湍下流のナパタにあった都が,メロエの地に移された時期からメロエ王国の名で呼ばれる。ヘレニズム文化の影響を強く受ける一方,古代エジプトの聖刻文字(ヒエログリフ)によく似た字形をもつメロエ文字を創始するなど,独自の文化を発達させたが,4世紀初めに,エチオピアのアクスム王国の攻撃を受け滅亡した。メロエ遺跡から,鉄器の出土例がきわめて多いことと,市街地周辺部に残る膨大な鉄滓の存在から判断して,鉄生産が非常に盛んであったことが推定される。…

※「メロエ文字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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