デジタル大辞泉 「もて離る」の意味・読み・例文・類語 もて‐はな・る【もて離る】 [動ラ下二]1 遠く離れる。遠ざかる。「大臣のけ近う見給へば、いかなるぞとも聞こえつべけれど―・れ給へればこそ」〈宇津保・国譲下〉2 関係をもたない。故意に避ける。「―・れたるさまにのみ言ひなし給ふめれば」〈かげろふ・中〉3 本筋からはずれる。「―・れたることをも思ひよせて疑ふもをかしとおぼせど」〈源・帚木〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「もて離る」の意味・読み・例文・類語 もて‐はな・る【もて離】 ( 「もて」は接頭語 )[ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙① 関係やつながりが、全く絶える。ひどく離れる。隔絶する。[初出の実例]「たぐへやるわがたましひをいかにしてはかなきそらにもてはなるらむ」(出典:大和物語(947‐957頃)六)② 取り合わないでいる。かかわりをもたないでいる。[初出の実例]「もてはなれたるさまにのみいひなし給ふめれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)③ すっかり相違する。本筋からはずれる。見当をはずれる。かけはなれる。[初出の実例]「はづしたる矢の、もてはなれてことかたへゆきたる」(出典:春曙抄本枕(10C終)八五)「いかなりし事ぞと、気色どり給ふに、ことのほかにもてはなれぬ事にしあれば、言はん方なくわりなくて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)[ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙① 脱却する。関わりを断ち切って捨て去る。[初出の実例]「みづからのあざればみたるかたくなしさをもてはなれよと思しかど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)初音)② 遠ざける。わざと会わないようにする。[初出の実例]「さしもあるまじき事にかどかどしくくせをつけ、愛敬なく人をもてはなるる心あるは」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例