モノロギオン(その他表記)Monologion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モノロギオン」の意味・わかりやすい解説

モノロギオン
Monologion

神学者アンセルムスの独語録で,主著の一つ。 1077年の作。本書は2部に分れ,第1部では最高の本質としての絶対者の存在論的論証,最高の本質による無からの創造,創造者と被造物の存在論的相関,最高の本質の存在論的位相およびその属性が論じられ,それがすべての実体をこえる個体的な霊としての実体であるとされている。第2部では,人格的に措定された絶対者の構造契機の分析を介して三位一体論の体系化を企てている。この三位一体論は,Alter Augustinusの名のごとく,むしろアウグスチヌス学説解釈ともいえるものであるが,神の存在と本質の体系的思索を求める時代の要請にこたえたものとして画期的な意味をもつ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のモノロギオンの言及

【アンセルムス】より

…アンセルムスは信仰を超自然的・非理性的に固定すること,また逆に自然的理性の中にとじ込めることのいずれをも退けて,神学固有の認識方法を立てたのであるが,その対象把握の深さと論証の厳密さとは比類なきもので,時代を超えて神学の模範となった。最初の著作《モノロギオン》はアウグスティヌスの《三位一体論》にならいつつも,独自の仕方で最高存在が三位一体をなすことを論証し,次の《プロスロギオン》では逆に三位一体からして神の存在が概念的にも必然であることを論証する。そしてこの循環の中で,最高存在はギリシア的な永遠不動の神ではなく,三位一体として働く活動的な存在であることが明らかにされた。…

※「モノロギオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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