ヤセバチ(その他表記)Evanioidea

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤセバチ」の意味・わかりやすい解説

ヤセバチ
Evanioidea

膜翅目ヤセバチ上科に属する昆虫総称寄生蜂腹部は第1節が長く柄状になり,前伸腹節の上部に付着する点で特異である。触角は糸状で長く,前翅前縁室は広い。産卵管は一部が体外に突出し,非常に長いものもある。日本にはヤセバチ科 Evaniidae,セダカヤセバチ科 Aulacidae,コンボウヤセバチ科 Gasteruptionidaeの3科を産する。ヤセバチ科は体長 10mm内外,体は短太。腹部は非常に小さく,長い腹板があり,強く側圧され,前伸腹節の上部につくさまが旗のようにみえるので英名を ensign waspという。ゴキブリ卵嚢に寄生するため,ゴキブリがいる指標として役立つ。セダカヤセバチ科は体が細長く,腹部は細長い棍棒状。触角は頭楯のすぐ上につく。産卵管は長く突出する。前翅には2肘室と2本の反上脈がある。木材中にすむカミキリムシなどの幼虫に寄生する。コンボウヤセバチ科は非常に細長いハチで,腹部は細長く側圧され,体長に等しい長さの産卵管をもっている。触角は頭楯よりはるか上方につく。前翅は1肘室,1反上脈があるのみである。孤独性の狩人蜂ハナバチの幼虫に寄生する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤセバチ」の意味・わかりやすい解説

ヤセバチ
やせばち / 痩蜂

昆虫綱膜翅(まくし)目ヤセバチ上科Evanioideaに属する寄生性の昆虫の総称。ヤセバチ科Evaniidae、セダカヤセバチ科Aulacidae、コンボウヤセバチ科Gasteruptiidaeの3科があるが、種類数は少ない。すべて腹柄が胸部の小楯板(しょうじゅんばん)の直後に連結し、前伸腹節の前方に位置するのが共通の特徴で、そのほかは形態的に分化が著しい。ゴキブリヤセバチEvania appendigasterは体長約7ミリメートルの細長いハチで、全身黒色。ゴキブリの卵鞘(らんしょう)に寄生する珍しい習性をもつ。ホシセダカヤセバチPristaulacus intermediusは木材中のトラカミキリなどの幼虫に寄生する。コンボウヤセバチGasteruption japonicumはハラツヤハナバチの幼虫に寄生する。

[平嶋義宏]

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