日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラカミキリ」の意味・わかりやすい解説
トラカミキリ
とらかみきり / 虎天牛
昆虫綱甲虫目カミキリムシ科の一群Clytiniに属する昆虫の総称。世界各地に分布しており、1000種近くが知られ、日本産はおよそ70種ほどである。中形からやや小形の細長い甲虫で、体表は密に毛で覆われており、毛色によって縞(しま)模様などのきれいな斑紋(はんもん)を現すものが多い。頭は前に突き出るが触角は短く、肢(あし)は細長い。前胸は丸く球形に近いが、円筒形のこともあり、上ばねは長くて両側が平行かすこし後方へ細くなり、肩が張っている。枯れ木、薪(まき)に集まり、樹葉上にもみられるが、花に集まる種類も少なくない。行動はすばやいものが多く、よく飛ぶ。幼虫は普通枯れ木やその枝の内部を食害するが、タケトラカミキリのように枯れたタケにつくものもあり、スギの生木に枯れ枝から侵入し加害するスギノアカネトラカミキリ(キオビトラカミキリ)や、クワの生木につくトラフカミキリのようなものもある。日本の最大種オオトラカミキリは北海道で針葉樹にかなりの被害を与えたことがある。
[中根猛彦]