改訂新版 世界大百科事典 「ヤブモズ」の意味・わかりやすい解説
ヤブモズ (藪百舌)
bush-shrike
スズメ目モズ科ヤブモズ亜科Malaconotinaeの鳥の総称。モリモズ類とも呼ばれる。この科の鳥は全長20~28cmの中型のモズで,上面は黒色,灰色,緑色をしているが,下面が赤色や黄色などの鮮やかな色彩をしている種が多い。雌雄同色と異色のものとがある。湿地,疎林,サバンナ,半乾燥地帯に単独かつがいですみ,よく茂ったやぶの中で行動するため,姿をみかけることは少ない。地上や地上近くで昆虫類をとり,トカゲ類,カエル類,小型のネズミ類も捕食する。繁殖期には,雄が大きな美しい声でさえずり,雄と雌が二重唱をする種もいる。地上近くの茂みの枝に,わん形の巣をかけ,ふつう1腹2個の卵を産む。
アフリカに約40種が分布する。ヨンショクヤブモズTelophorus quadricolorは全長約20cm,上面がオリーブ緑色で,のどと胸が赤く,胸と腹の間に黒色の帯がある。腹以下の下面は黄色である。南アフリカに分布する。アカハラモリモズLaniarius barbarusは全長約20cm,上面が黒く,下面は和名のように鮮やかな赤色である。東アフリカに分布している。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報