ヤマイグチ(読み)やまいぐち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマイグチ」の意味・わかりやすい解説

ヤマイグチ
やまいぐち / 山猪口
[学] Leccinum scaber (Fr.) S. F. Gray

担子菌類、マツタケ目イグチ科の優れた食用キノコ。傘は径5~20センチメートルの半球形からまんじゅう形。表面は灰色灰褐色黒色など。肉は白く、空気に触れるとややピンク色を帯びる。下面の管孔(くだあな)は初め白色胞子が成熟するころには淡灰色になる。茎は長さ6~12センチメートル、径1~2センチメートル、上部に向かって細くなり、表面は灰白色の地に、縦に並んだ黒ずんだ小さな粒状の鱗片(りんぺん)があるのが特徴。胞子は15~20マイクロメートル×5~7マイクロメートルの長紡錘形。シラカバ、ダケカンバ林にみられる菌根菌で、日本では亜高山地帯に多い。北ヨーロッパでは一級の食用キノコとして好まれる。北半球温帯以北に広く分布する。

[今関六也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマイグチ」の意味・わかりやすい解説

ヤマイグチ(山猪口)
ヤマイグチ
Leccinum scabrum

担子菌類マツタケ目アミタケ科。夏秋の頃,広葉樹 (カンバ属) の林の地上孤生または群生する。傘は径5~20cm,半球形ないし丸山形でのちに平らになる。表面は淡黄褐色または暗褐色裏面は初め白色のちに淡灰色,小さな管孔口が密にできる。柄は中実,径1~2cm,高さ6~12cm,白色または灰色の地に灰褐色ないし黒色の小鱗片がついている。胞子紋は暗褐色。食べられる。本州,九州に産し,北アメリカ,ヨーロッパ,シベリアにも分布する。

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栄養・生化学辞典 「ヤマイグチ」の解説

ヤマイグチ

 イグチ目イグチ科ヤマイグチ属の担子菌[Leccinum scabrum]で,食用にするキノコ.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヤマイグチの言及

【イグチ(猪口)】より

…毒キノコはほとんどなく,食用キノコが多い。食用としてはヌメリイグチ属SuillusのアミタケS.bovinus (Fr.) Kuntze(イラスト)(マツ林に群生),ヌメリイグチS.luteus (Fr.) S.F.Gray(イラスト)(マツ林),ハナイグチS.grevillei (Kl.) Sing.(カラマツ林)や,ヤマドリタケ属BoletusのヤマドリタケB.edulis Fr.(雑木林),ヤマイグチ属LeccinumのヤマイグチL.scabrum (Fr.) S.F.Gray(カンバ林),キンチャヤマイグチL.aurantiacum (St.Am.) S.F.Gray(カンバ林),アカヤマドリL.extremiorientale (L.Vass.) Sing.(イラスト)(雑木林)などがすぐれている。この科のキノコはいずれも樹木の根に菌根をつくって共生するので,宿主となる木の種類と密接な関係がある。…

※「ヤマイグチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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