改訂新版 世界大百科事典 「ヨロイジネズミ」の意味・わかりやすい解説
ヨロイジネズミ (鎧地鼠)
armoured shrew
Scutisorex somereni
食虫目トガリネズミ科の哺乳類。アフリカのコンゴ民主共和国,ウガンダ,ルワンダの森林地帯に分布する異様に太くがんじょうな背骨をもったジネズミの1種。背骨は人の体重にも耐え得るといわれるが,どのような適応的意味があるのかはわかっていない。外観はジネズミに似るが,がっしりしていて,肩を弓なりに湾曲させた独特の姿勢をしている。この姿勢はがんじょうな背骨とあいまって心臓その他の内臓を外圧から守る効果があるものと考えられる。毛は羊毛状で,全身灰色。体側に強い麝香(じゃこう)臭を発する分泌腺がある。ジネズミ類としては大きく,体長12~15cm,尾長6.8~9.5cm。昼夜を問わず活動し,ゆっくりとした動作で落葉,倒木,石の下などを探ってミミズ,昆虫,カエルなどを捕食する。生態の詳細は知られていないが,5月に授乳中の雌が採集されている。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報