ヨーロッパ統合運動(読み)ヨーロッパとうごううんどう(その他表記)Movement for United Europe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーロッパ統合運動」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ統合運動
ヨーロッパとうごううんどう
Movement for United Europe

統一ヨーロッパの形成を目指す運動。理念としてはキリスト教的普遍主義と近代啓蒙思想を前提とし,C.サン=ピエールや I.カントらによって提唱されたが,運動となったのは 20世紀に入ってからである。2つの系譜があり,その一つである国際労働運動の掲げた「ヨーロッパ合衆国」の目標は,第2インターナショナルの崩壊,ロシアでの一国社会主義の成立により挫折した。もう一つの運動,すなわち 1923年にオーストリアの R.クーデンホーフ=カレルギーが呼びかけた「汎ヨーロッパ」の提案は,26年の第1回汎ヨーロッパ会議をはじめ,A.ブリアン,G.シュトレーゼマンらの支持を得て両大戦戦間期に発展した。第2次世界大戦後,イギリスの W.チャーチル首相の呼びかけを皮切りに運動が再開され,48年5月のハーグ・ヨーロッパ会議で運動の統一がはかられた。それは,戦後の多くのヨーロッパ機構 (ヨーロッパ経済協力機構 OEEC,ヨーロッパ経済共同体 EECなど) を成立させるに際して重要な背景となった。

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