ピエール(読み)ぴえーる(その他表記)Pierre;or, The Ambiguities

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピエール」の意味・わかりやすい解説

ピエール
ぴえーる
Pierre;or, The Ambiguities

アメリカの作家、H・メルビル長編小説。1852年刊。主人公ピエールは田舎(いなか)の由緒ある家柄に生まれた青年。亡父の隠し子、異母姉イザベルの存在を知り、深い幻滅と懐疑に襲われる。やがて母と許嫁(いいなずけ)ルーシーを見捨ててイザベルのもとに走る。ルーシーもそのあとを追う。母は彼の家督相続権を剥奪(はくだつ)したあと悶死(もんし)。ピエールは創作によって身をたてようとするが果たせず、殺人の罪を犯して獄につながれる。結局、姉弟の忌まわしい関係(近親相姦(そうかん))を知ったルーシーがそのショックで死に、ピエールとイザベルは服毒自殺して果てる。極端な理想主義に走る青年の悲劇で、キリストの愛の思想をすら否定しようとするこの作品は、出版当時、狂気と背徳の書の烙印(らくいん)を押された。しかし西欧ニヒリズムの実存的問題に鋭く切り込んでいて示唆多き長編である。

[杉浦銀策]

『坂下昇訳『ピエール』(『メルヴィル全集9』・1981・国書刊行会)』

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ピエール」の解説

ピエール(隠者の)(ピエール(いんじゃの))
Pierre (l'Ermite)

1050~1115

フランスの修道士,説教家。アミアン生まれ。第1回十字軍を勧奨し,1096年,民衆十字軍を率い,小アジア北岸でトルコ人に撃滅され,イェルサレム攻略後帰還。みずから設立したリエージュ付近の修道院(ヌフ・ムーチエ)で没。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ピエール」の解説

ピエール

《Pierre》北米、NBA加盟のプロバスケットボールチームニューオーリンズ・ペリカンズ」のマスコット。2013年登場。ペリカンモチーフ当初赤いくちばしだったが、デザイン変更により黄色いくちばしになった。

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世界大百科事典(旧版)内のピエールの言及

【メルビル】より

…50年優れた評論《ホーソーンとその苔》を執筆したのを契機に,ホーソーンとの親交が始まり,2人の大作家は互いによい刺激をうけた。51年代表作《白鯨》を,翌年《ピエール》を発表。後者は主人公と異母姉との不倫の愛を中心に,象徴的技巧を駆使して善悪の規準の曖昧(あいまい)さ,人間の心の深淵をさぐる傑作であるが,あまりにも暗い主題のため不評であった。…

※「ピエール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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