改訂新版 世界大百科事典 「ラウルドウーダン」の意味・わかりやすい解説 ラウル・ド・ウーダンRaoul de Houdenc生没年:1165ころ-1230ころ 中世フランスの詩人,物語作者。北フランスに生まれ,貧しい放浪生活を送る。アーサー王伝説の一主題の巧みな心理分析によって物語り,錯綜した挿話の織物となっている代表作《メロージ・ド・ポールレゲ》(13世紀初頭)にはクレティアン・ド・トロアの影響がみられる。寓意による教訓詩《地獄の夢》(1210ころ)は地獄下りの夢を物語り,主人公は〈貪欲〉〈裏切り〉の町を過ぎ,〈大食河〉を越えて呪われた地獄の市に着く。同じ寓意的教訓詩《翼物語》(1234ころ)は完全な宮廷騎士への処法を示す。これら2作は宮廷風文学が寓意文学へと変質していく過程を例示する作品となっている。執筆者:神沢 栄三 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by