( 1 )中世末のキリシタン資料のローマ字表記から、当時は清音「とんよく」であったことが確認される。「どんよく」への変化については、「貪」を持つ漢語には「ドン」の慣用音を持つ語形が少なからずあったこと、中世には広く用いられていたと思われる「慳貪」が「日葡辞書」ですでに「Qendon(ケンドン)」の音形であることなどから、その「ドン」の音への類推がはたらいた可能性もある。
( 2 )中近世においては「胴欲」が口頭語であったのに対して、「貪欲」は文章語であったと見られている。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報