改訂新版 世界大百科事典 「ラサネン」の意味・わかりやすい解説
ラサネン
Arvo Martti Oktavianus Räsänen
生没年:1893-
フィンランドのチュルク諸語学者。1944年から61年までヘルシンキ大学のトルコ語学教授。チュバシ語やタタール語の研究に従事し,《チェレミス語におけるチュバシ語の借用語》(1920)や《チェレミス語におけるタタール語の借用語》(1923)などの論文を発表した。主著は《チュルク語音声史資料》(1949)と《チュルク語形態論資料》(1957)で,これらによりチュルク語学の世界的権威とみなされるに至った。両書はチュルク諸語の音声と形態の資料を堅実な方法で整理してまとめたもので,最も信頼のおけるチュルク諸語の比較文法概説書として利用されている。これらの中で彼はウラル語とアルタイ語の同系性を主張しているため,日本でも〈ウラル・アルタイ説〉の支持者として注目されている。なお別に《チュルク語語源辞典試作》(1969)も編纂している。
執筆者:小泉 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報