大学事典 「ヘルシンキ大学」の解説
ヘルシンキ大学[フィンランド]
ヘルシンキだいがく
1640年に設立されたフィンランド最古の大学。トゥルク(オーボ)に設立されたトゥルク王立アカデミー(フィンランド)(オーボ王立アカデミー)を起源とする。フィンランドを統治下においていたスウェーデンがその支配的地位を確固たるものとし,自らの統治を円滑にすべく,公務員および聖職者の養成機関として設立した。1809年にフィンランドの支配権がロシアに移行すると,トゥルク帝国アカデミー(フィンランド)に改称された。1827年にトゥルクで起きた大火を契機として,翌28年にヘルシンキに移されると,名称もアレクサンドル皇帝大学(フィンランド)へと改めている。移転はフィンランドに対する支配を強めたいロシア政府が,潜在的脅威と感じていたアカデミーを大火に乗じて地理的によりロシアに近いヘルシンキに移し,統制を強めることを狙いとしていた。現在の名称になったのは,フィンランド独立(1917年)後の1919年である。20世紀に入るまで,フィンランド唯一の高等教育機関であった。2014年現在,11学部(神学,法学,医学,人文科学,理学,薬学,生物環境科学,行動科学,社会科学,農林学,獣医学)で約4万人の学生が学ぶ。
著者: 渡邊あや
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報