改訂新版 世界大百科事典 「ラディシュ」の意味・わかりやすい解説
ラディシュ
radish
Raphanus sativus L.var.radicula DC.
アブラナ科の一年草。ヨーロッパ系のダイコンで,播種(はしゆ)してから20~30日の短期間で収穫できるところから,ハツカダイコンの別名がある。古くから西洋に分布し,ピラミッド建設の碑文にも記されているといわれる。原産地は不明で,古いヨーロッパの野生種の交雑によりできたものと考えられている。植物体は小さく,極早生種である。全体に多毛。根形は丸形から長形まであり,根色も白,紅,紫などがある。低温に強く,とう立ちも遅い。根のデンプン含量はアジア系のダイコンに比べて少なく,貯蔵には適さない。コメット,サクサ,レッド・フォーシングなどの品種がある。排水のよい砂壌土での栽培で良品の生産ができる。東京,大阪などの大都市周辺に産地があり,周年栽培が行われる。また手軽に栽培できるので,家庭菜園用にも適している。色彩が鮮やかなため,生でサラダやオードブルの添物にしたり,酢漬などにして利用する。
執筆者:平岡 達也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報