アブラナ科(読み)あぶらなか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブラナ科」の意味・わかりやすい解説

アブラナ科
あぶらなか
[学] Brassicaceae
Cruciferae

子葉植物、離弁花類。草本性で、葉は互生し、単葉または複葉で托葉(たくよう)はない。花序は総状または散房状。花は両性、萼片(がくへん)4枚、花弁4枚で十字形に並び、雄しべは6本で、内輪の4本は長い。雌しべは1本、子房は上位、2心皮、2室からなり、胚珠(はいしゅ)は側膜胎座(たいざ)につく。果実は角果、隔膜があり2室となる。種子胚乳がない。幼根が子葉につく位置に背位と側位とがあり、属を見分ける区別点となる。世界に375属約3200種分布し、北半球の温帯に多く、日本には21属約60種が自生する。ヨーロッパ、北アメリカから帰化したものにマメグンバイナズナ属、オランダガラシ属、タマガラシ属、ミヤガラシ属、カラクサナズナ属などがあり、観賞用に栽培されるものにニワナズナ属(アリッサム)、アラセイトウ属、ニオイアラセイトウ属、マガリバナ属などがある。

 アブラナ属には、アブラナ、キャベツカブなど古くから有用植物として栽培されているものが多い。

[小林純子 2020年11月13日]

 APG分類でもアブラナ科とされる。

[編集部 2020年11月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブラナ科」の意味・わかりやすい解説

アブラナ科
アブラナか
Cruciferae

双子葉植物ケシ目の1科。世界のほぼ全域にわたって約 400属 3000余種があるが,分布の中心は北半球の温帯,特に地中海地方である。多年草または一年草で,まれに小低木化するものもある。最大の特徴は4数性の花をつけ,片,花弁ともに4枚で,6本 (うち4本が長い) のおしべがあり,十字形に開くことで,このことから十字花植物ともいわれる。果実は長,短の 蒴果となり熟すと2裂し,小さな種子を多数もつ。古くからヨーロッパや中国で野菜として栽培されたものが多く,ダイコン (大根)アブラナ (油菜) (栽培品としてのカブ〈蕪〉ハクサイ〈白菜〉コマツナ〈小松菜〉などを含む) ,キャベツなど重要な葉菜や根菜類がある。また,アリッサムなど観賞用の植物や,ワサビ (山葵)カラシナ (芥子菜)セイヨウワサビ (西洋山葵)など香辛料の原料となる種類も多い。

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世界大百科事典(旧版)内のアブラナ科の言及

【アブラナ(油菜)】より

…油料植物や野菜として重要なアブラナ類は,4月ころ黄色の十字花をつけるアブラナ科植物で,種子には40~45%の油を含み,世界中で広く栽培される。明治以後セイヨウアブラナの栽培が始まる前は,日本ではアブラナが植物性油の中でも最も重要なものであった。…

※「アブラナ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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