改訂新版 世界大百科事典 「ラビラ」の意味・わかりやすい解説
ラビラ
Paavo Ravila
生没年:1902-74
フィンランドのウラル語学者。フィンランド中南部のラウカーに生まれ,トゥルク大学で哲学を志したが途中から語学に転向し,ヘルシンキ大学へ移った。1929年にモルドビン語の実地調査を行う機会をもったが,以後ラップ語の研究に従事した。34年から49年までトゥルク大学のフィンランド語・同系語の教授。49年にヘルシンキ大学のフィン・ウゴル語学教授となり,同大学の学長(1953-68),フィンランド科学アカデミー会長(1967-68)などの要職を歴任した。モルドビン語の第2音節以降に現れる〈a音〉の研究(1929)から始まり,パーソネンのモルドビン民族詩4巻をまとめた。また《フィン・ウゴル語族におけるラップ語の位置》(1935)ではラップ語が原フィン語から派生したと推定している。なお,フィン・ウゴル語の語形変化の起源を探り,ウラル語統語論研究の基を開いた。《言語史入門》(1946)を著し,記述文法や変形文法にも批判を加えている。
執筆者:小泉 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報