ラピッドフロー法(読み)ラピッドフローホウ

化学辞典 第2版 「ラピッドフロー法」の解説

ラピッドフロー法
ラピッドフローホウ
rapid flow method

反応溶液を迅速に混合し,この混合液測定管中に流し,適当な方法で混合物の組成変化を分析する方法で,高速反応の反応速度を測定する有用な方法の一つである.図において2本の注射器にA,Bの反応溶液を入れておき,注射器のプランジャーを同時に一定速度vで押せば,A,B溶液は特別に設計された混合室ですばやく混合され,測定管に送り込まれる.観測手段としては光学的方法がもっとも多く用いられ,たとえば光源Lからの透過光を光電子増倍管 Pで受光し,その変化をシンクロスコープ上に描かせる.混合室と測定点との距離xおよび流速vを適当にかえることによって,いろいろの反応時間(x/v)における反応の進行を観測できる.ラピッドフロー法には種々のタイプがあり,コンティニュアスフロー法(continuous flow method)は混合した溶液を一定速度で流したままの状態で測定するもので,比較的多量の試料溶液を必要とする.この点を改良したものにアクセラレイテドフロー法(accelerated flow method)があるが,装置が複雑であるために今日ではあまり用いられていない.現在もっとも広く用いられているのは,ストップドフロー法(stopped flow method)とよばれるもので,混合溶液の流れを急に停止し,それ以後の反応の進行を固定した測定点で追跡するため,試料の消費量も少なくてすみ,また流速を一定にする必要もないという利点がある.ラピッドフロー法は原理的に溶液の混合時間(最低数 ms)の制限を受けるので,数 ms より遅い化学反応の反応速度の測定に広く用いられ,酵素反応など生物化学的研究に盛んに利用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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