日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラブルスト」の意味・わかりやすい解説
ラブルスト
らぶるすと
Henri Labrouste
(1801―1875)
フランスの建築家。パリに生まれる。イポリット・ル・バに師事したのち、1824年にローマ賞を獲得してローマに留学、30年まで滞在。帰国後、訓練用アトリエを開設して「建築の美は理論性と合理性に基づく」ことをモットーにして多くの人材を育てたが、やがてこれはフランスにおける建築家育成のセンターとなった。施工の実地においては、パリのパンテオンのそばに建つサント・ジュヌビエーブ図書館(1843~50)の内部構造に鉄材を積極的に使用し、鋳鉄の円柱と穹窿(きゅうりゅう)によって開放的な空間の構成に成功した。またパリ国立図書館の改築工事(1862~68)でも鉄材による9個の円蓋(えんがい)を連続的に架構し、前者の空間構成をいっそう効果的に推進している。
[濱谷勝也]