日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラレータ」の意味・わかりやすい解説
ラレータ
られーた
Enrique Larreta
(1875―1961)
アルゼンチンの小説家。弁護士の資格を得て、大学卒業後は新聞、雑誌に寄稿。スペインに渡り5年間古文書をあさり、『ドン・ラミーロの栄光、フェリペ2世時代の或(あ)る生』(1908)を発表。近代主義(モデルニスモ)の古典ともいわれ、フロベールの『サランボー』にも比較されるこの歴史小説は、アビラの町を舞台にスペイン人とモーロ人、そして両者の文化が共存する16世紀末のスペインを色鮮やかに描いたもの。帰国後は大学で中世史を講義、かたわら外交官、文化協会会長などを務めながら、『ソゴイビ』(1926)、『パンパにて』(1955)などアルゼンチンを舞台にした一連の小説や戯曲、歴史評論を著した。
[安藤哲行]