ラン鉄鉱(読み)らんてっこう(その他表記)vivianite

改訂新版 世界大百科事典 「ラン鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

ラン(藍)鉄鉱 (らんてっこう)
vivianite

青色を示すリン酸鉄鉱物。化学成分はFe23(PO42・8H2O。Feの一部をMn2⁺,Mg,Caなどで置換することがある。新鮮で未酸化のものでは,鉄は2価の原子であり,その色は無色~白色,帯黄色であるが,Fe2⁺がFe3⁺に酸化するに従いしだいに淡青色から暗緑色,濃青色に変色する。このように色彩の変化を示す鉱物は珍しいが,その中でも著しい例とされている。多くの場合は酸化状態にあり青色に着色しているため,その名称がつけられた。単斜晶系に属し,枝状,柱状の形態を示すが,また皮膜状,球状,粉末状,土状を呈して産出することも多い。結晶では{010}にへき開がよく発達する。比重2.6~2.7,モース硬度1.5~2。熱水性金属鉱床,金属鉱床の酸化帯に二次鉱物として,またリンを含む花コウ岩ペグマタイト中に産出するが,また沼鉄鉱褐鉄鉱)中,亜炭中に産出することもあり,ときに動物の骨や木の葉などの化石を置換して産出することもある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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