改訂新版 世界大百科事典 「リゴリオ」の意味・わかりやすい解説
リゴリオ
Pirro Ligorio
生没年:1513ころ-83
ルネサンス末期のイタリアの建築家,古代研究家。ナポリに生まれ,ローマで活躍。ローマ東郊のティボリにイッポリト・デステの別荘ビラ・デステ(エステ荘),バチカン宮殿の庭園にピウス4世のカジノ(園亭)を建設した。前者は彼自身が発掘したハドリアヌス帝のウィラ遺跡の影響を受けた雄大な噴水テラス庭園,後者は同じく古代ローマ時代の園亭を範とした小園であり,いずれも古代の図像と寓意に富む博識かつ衒学(げんがく)的な装飾性を特徴とする。熱心な古代研究家として知られ,古代の文物に関する多くの素描,記録を残したほか,パンテオンの青銅扉とドーム外装を修復した。バチカン宮殿,ベルベデーレ宮殿の庭の改修にも従事したが,教皇庁関係の工事ではミケランジェロの対立者であった。庇護者ピウス4世の没後はミケランジェロの弟子の妨害もあってローマを離れ,フェラーラのエステ家に仕えたのち同地で没した。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報