日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルグバラ」の意味・わかりやすい解説
ルグバラ
るぐばら
Lugbara
アフリカのウガンダとコンゴ民主共和国(旧ザイール)に住む中央スーダン語系の農耕民。言語的にも文化的にもこの地域の民族とはつながりが薄く、チャド湖周辺からナイル川上流に移動してきたと考えられる。人口はウガンダ側に約18万、コンゴ(旧ザイール)側に約6万である。モロコシとトウジンビエが主要作物であるが、牛やヤギ、ニワトリも飼う。換金作物として綿花やタバコを栽培するが、収入は少なく現在では出稼ぎが多い。約60の父系クラン(氏族)があり、クラン名でよばれる最小の単位である拡大家族に1人の長老がいる。長老の役割はおもに儀礼的なもので、彼だけが祖先の社(やしろ)に近づくことができ、神秘力をもつ。外婚単位となるのはサブ・クランであるが、各クランはそれぞれ生と死および豊穣(ほうじょう)を支配するといわれる雨乞(あまご)い師をもっている。彼らは高い尊敬を受け、作物の植え付けや収穫の時期をも告げる。割礼は行わず年齢集団もない。
[加藤 泰]