トウジンビエ(読み)とうじんびえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウジンビエ」の意味・わかりやすい解説

トウジンビエ
とうじんびえ / 唐人稗
[学] Pennisetum typhoideum Rich.

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。熱帯アフリカ、とくにエジプト、スーダン地域が原産地とされるが、インドも原産地とする説もある。茎は直立して高さ3メートルになり、よく分げつし、葉は長いものは1メートル余、幅6センチメートルほどで草形はモロコシに似ている。秋に茎頂に穂を出す。穂は長さ30~90センチメートル、太さ径2~4センチメートルで、多数の短い枝柄に一対ずつ小穂がつき、小穂の基部に濃褐色の長い硬毛が密生しているので、穂全体はガマの穂を長くしたような形状である。穎果(えいか)は秋に熟し、長さ5ミリメートル、幅2~3ミリメートルの倒卵形で、灰青色または深褐色。

 高温に強く、年に2回ほど刈り取っても再生力が強い。インドやアフリカでは種子のひき割りを粥(かゆ)としたり、粉にして平焼きパンとする。稈葉(かんよう)は屋根葺(ふ)き材料や燃料とする。日本、アメリカ、ヨーロッパでおもに青刈り飼料作物として栽培されている。

[星川清親 2019年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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