改訂新版 世界大百科事典 「ルロアグーラン」の意味・わかりやすい解説
ルロア・グーラン
André Leroi-Gourhan
生没年:1911-86
フランスの考古学者,民族学者。パリに生まれ,リヨン大学教授,パリ大学教授を経て,1969年よりコレージュ・ド・フランス教授。1945-63年には,フランス北部の洞窟遺跡群アルシー・シュル・キュールArcy-sur-Cureにおいて,きわめて科学的な発掘調査を行った。彼は,これら旧石器時代洞窟壁画の主題と洞窟内の地形との関連を詳細に調査分析することによって,ユニークな〈男女両性神話説〉を提出した。すなわち,壁画にあらわれる動物や記号はすべて意味のあるグループとして組織されていること,そしてすべての動物と記号は男性的象徴もしくは女性的象徴であって,それらは互いに補足しあうように対置されていること,を主張したもので,彼によると洞窟全体は真の形而上学的体系であり,男女両性の対置にもとづく神話的体系であるとされる。著書は《西洋の先史美術》(1965),《身ぶりと言葉》(1964-65)など。
執筆者:木村 重信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報