演劇用語。同一劇場で多くは専属の劇団が,一定数の演目(レパートリー)を毎晩換えて上演する興行方式をいう。通常レパートリーは,シーズンごとに定められる。この方式は,アメリカで20世紀に始められたロングラン・システムとは対照的なもので,古くからヨーロッパで行われていた。最長の伝統をもつのは,フランスで1680年に結成されたコメディ・フランセーズであり,この一座には大革命期まで,他の劇団にこの劇団のレパートリーの上演を許さぬ独占権が与えられていた。近年,ヨーロッパをはじめ世界各国で演劇振興のために公的援助が与えられるようになったが,そこでもレパートリー・システムによる劇団活動に援助が与えられることが多く,俳優の養成と新しい劇作家の登場を促進する効果を生んでいる。イギリスにおいて地方の諸劇場の衰退を救ったのも,レパートリー劇団の活躍であったし,また古典演目の保存や若い観客層の育成のためなど,教育的目的をもつレパートリー劇団の設立が,ヨーロッパをはじめ多くの国々でみられる。
執筆者:戸張 智雄
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…したがって劇場には,必ずしも完備した稽古場や製作場が設けられる必要はなく,実際そうした施設を持っている劇場は少ない。 演目の上演方式も劇場の施設形態に影響を与え,レパートリー・システムのように,毎日演目が入れ替わる方式では,ストックの大量の舞台装置類,衣装類などを収納する倉庫が完備し,毎日の入替え作業に十分な作業スタッフが配備されていることが円滑な劇場運用の前提となる。反対にロングラン・システムのような場合では,舞台上に一度舞台装置を飾り込んでしまえば,公演が終了するまで舞台に放置することができるので,特別大規模な道具類の倉庫は必ずしも必要ではない。…
…経営と芸術内容の全体を統轄する座頭制度,それと並んで一つの(ヒット)作品を長期興行するロングラン・システムが発展し,それがまた1人あるいは少数の人気俳優を中心とするスター・システムを道連れとして,ますます演劇の通俗,マンネリ,見世物化に拍車をかけた。世紀末になると,それまでの風潮に対する反発と,いわゆる近代劇運動の興隆とが相まって,因襲打破,新作顕揚を建前としながら,1シーズンにあらかじめ決めた多くの作品を意欲的に上演するレパートリー・システムが出現した。しかし,これには経済的な危険がともない,その障害はひとつには国・公の財政援助をまってはじめて乗り越えられることが,両大戦を経て,国家体制のいかんを問わず,ことにヨーロッパで結果的に証明されている。…
※「レパートリーシステム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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