レフシェッツ(英語表記)Solomon Lefschetz

改訂新版 世界大百科事典 「レフシェッツ」の意味・わかりやすい解説

レフシェッツ
Solomon Lefschetz
生没年:1884-1972

アメリカの数学者。モスクワに生まれ,パリで育った。エコール・サントラルを卒業後,アメリカに渡って技師となったが,1910年事故で両手を失った。このためマサチューセッツのクラーク大学の大学院に入学して,数学で学位をとり(1911),ネブラスカ大学やカンザス大学で教えた。この間に,代数曲面の位相的構造を究明して,それによって代数曲面上のアーベル積分の理論を発展させた。この代数幾何学への貢献により19年にフランス学士院からボルダン賞をうけた。24年にプリンストン大学に招かれ,28年に教授となり,53年の退職まで務めた。この間に,ホモロジーの交点理論を展開して,不動点定理や双対定理に不滅の業績を残し,代数的位相幾何学の祖となった。第2次世界大戦中より,微分方程式の幾何学的理論に関心をもち,プリンストン大学退職後も,企業やブラウン大学に研究所をもって精力的に活躍して,アメリカにおける力学系理論の進展に貢献した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレフシェッツの言及

【幾何学】より

…図形の連続性を研究するのに代数学における群論を利用するという考えはまことに画期的で,ここに位相幾何学は有力な研究法を得た。この方法は,L.E.J.ブローエルに続いて,1920年代にはベブレンO.Veblen(1880‐1960),アレクサンダーJ.W.Alexander,S.レフシェッツらによって受け継がれ,厳密化されるとともに一般化された。さらに,この過程を通じて,不動点定理などが得られて,数学のほとんど全分野に対する位相幾何学の重要性が認識された。…

【不動点定理】より

…〈Xn次元ユークリッド空間の有界閉集合ならば,XからX自身へのどんな連続写像も不動点をもつ〉。この定理はS.レフシェッツによってXが有限多面体の場合に(1926),また,J.P.シャウダーによってXがバナッハ空間の凸閉集合の場合に(1930)拡張された。とくに,レフシェッツは有限多面体からそれ自身への連続写像fに対し,ホモロジー群を用いて今日レフシェッツ数と呼ばれている整数を定義し,これがfの不動点の代数的個数と一致すること,したがってfのレフシェッツ数が0でなければfは不動点をもつことを示した。…

※「レフシェッツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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