改訂新版 世界大百科事典 「レーノルズの相似則」の意味・わかりやすい解説
レーノルズの相似則 (レーノルズのそうじそく)
Reynolds' law of similitude
圧縮性を無視できる自由表面のない流れを支配する相似則。力学的相似則ともいう。O.レーノルズが見いだした。幾何学的に相似な流れ(例えば形が相似な物体が流れの中におかれた場合や円管内の流れなど)は,レーノルズ数Reが同一であれば力学的にも相似であるというもの。このとき,流れのパターンばかりでなく,圧力分布なども次元のない形(無次元形)で書けば完全に一致する。すなわち,圧力pを1/2ρU2(ρは流体の密度,Uは流速)で割った圧力係数,は,Reと,代表長さLで無次元化した位置座標X/Lだけの関数である。この法則が成立することは,模型実験,実験の整理,数値計算の標準化などの面で有用性は大きい。なお縮む流れではマッハ数M(M=U/c。cは音速),自由表面のある流れではフルード数も含ませる必要があるし,また非定常運動する物体では振動数をU/Lで割ったものもパラメーターとして入ってくる可能性がある。
執筆者:橋本 英典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報