イギリスの肖像画家。ローヤル・アカデミーの初代院長で,18世紀後半のイギリス美術界に君臨した。デボンシャーのプリマス近郊プリンプトンPlymptonで,グラマー・スクールの校長を父に生まれ,教養を重んずる家庭環境の中で育つ。1740-43年ロンドンの肖像画家ハドソンThomas Hudson(1701-79)のもとで修業。50-52年のイタリア滞在中に,ラファエロ,ミケランジェロ,コレッジョ,ティツィアーノ等のルネサンス画家を研究し,53年以降ロンドンに定住。60年代に上層階級を顧客とする肖像画家としての地位を確立し,68年のローヤル・アカデミー設立時には初代院長に最もふさわしい芸術家とされた。このあと89年視力を失うまで,各界名士,淑女の肖像画を無数に制作し,そのかたわらローヤル・アカデミーで69-90年に15回の講義を行う。これは《美術講義》の表題で出版。その内容は,大陸諸国のアカデミーの綱領に学んだ古典主義的芸術観である。彼はこの講義およびその刊行によって,イギリス美術の水準を高めるのに寄与し,また実作では,イギリス絵画の伝統的な分野である肖像画において,いわゆる〈グランド・マナーGrand Manner(大様式)〉を確立した。葬儀は芸術家としてはまれなほど盛大で,セント・ポール大聖堂に埋葬された。
執筆者:鈴木 杜幾子
アメリカの作曲家。ミシガン大学で工学と作曲を修める。1959-62年アナーバーでマルチ・メディアのための〈Once〉グループに参加。奨学金を得てケルンの西ドイツ放送電子音楽スタジオやパリ,イタリアに学ぶ。66-69年日本に滞在し,日米〈クロス・トーク〉コンサート・シリーズを企画。69年カリフォルニア大学サン・ディエゴ校助教授。71年よりイリノイ大学客員教授。不確定性やハプニングに強い関心をもち,C.E.アイブズ,E.バレーズ,J.ケージの影響を受けている。おもな作品に8歌手と器楽アンサンブルのための《アイスクリームの皇帝》(1962,74改訂),9女声,9男性マイム,3管楽器,電子音楽,映写機による《内と外I/O》(1971)などがある。
執筆者:小場瀬 純子
イギリスの工学者。アイルランドのベルファストの生れ。ケンブリッジで数学を学び,1867年に卒業後土木会社に入るが,翌年,新設のオーエンズ・カレッジの工学教授職につき,以後,37年間その地位にあった。おもに流体力学の研究を行い,管中の流れの乱流への遷移の限界を与えるレーノルズ数や,流体運動の相似を示すレーノルズ相似則などを見いだした。このほか,軸受の潤滑理論や水の平均比熱(凝固点と沸点間)の大規模実験による決定などの業績もある。またマンチェスター文芸・哲学協会のメンバーとして活躍,77年にはローヤル・ソサエティ会員にも選ばれている。
執筆者:日野川 静枝
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…彼は当時のイギリス風俗を活写したが,そこには単なる風俗描写に終わらない風刺性とユーモアが見られ,これはイギリス美術の伝統のひとつとなった。 16~17世紀に外来の画家たちによって培われた肖像画の伝統は,18世紀後半のJ.レーノルズ,T.ゲーンズバラを中心としてひとつの頂点に達した。大陸の荘重なバロック様式,華麗なロココ様式に通じる肖像画もあるが,家庭的な情景の中に何人かの人物の肖像を描き込んだいわゆる〈カンバセーション・ピース〉が,新しいタイプの肖像画として人気を博した。…
…このように完全な流体膜ができていて,その圧力が荷重を支えている状態が,流体潤滑である。ジャーナル軸受の中が流体潤滑の状態にあることは,1883年,イギリスのタワーBeauchamp Tower(1845‐1904)によって実験的に見いだされ,86年,O.レーノルズによって流体力学的に説明された。流体潤滑の理論はその後多数の研究者によって発展させられたが,レーノルズの理論は,今日でもなおその基礎とされている。…
…このような状態が乱流である。 管内での乱流の発生を最初に組織的に研究したのが,O.レーノルズである。彼はこの研究において,流量の目安となる中心軸上流速U,円管の半径a,流体のねばさを表す動粘性係数νの三つから作られる単位をもたない量,すなわち無次元量Ua/νの大きさが,乱流状態が出現するか否かを決定することを発見した。…
※「レーノルズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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