ロシア報知(読み)ろしあほうち(その他表記)Русский вестник/Russkiy vestnik

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロシア報知」の意味・わかりやすい解説

ロシア報知
ろしあほうち
Русский вестник/Russkiy vestnik

帝政ロシアの文芸政治雑誌。1856~87年モスクワ、87~1906年モスクワ、ペテルブルグ(現サンクト・ペテルブルグ)で発行。保守的な評論家・ジャーナリストであるM・N・カトコフが創刊した月刊誌(当初から1861年まで隔週刊)で、とくに61年以降には反動陣営の利益を代弁し、『現代人』誌と対立した。同誌には、ツルゲーネフの『その前夜』『父と子』、ドストエフスキーの『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』、トルストイの『コサック』『アンナ・カレーニナ』など多くの傑作が掲載されている。

[中本信幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のロシア報知の言及

【カトコフ】より

…はじめはスタンケービチのグループに接近して,急進的なベリンスキー,バクーニン,ゲルツェンらと交わったが,1840年代以降は穏健な自由主義者として,イギリスの立憲君主政体を理想視する立場をとった。50年代から《モスクワ通報》紙(1850‐55,63‐87),《ロシア報知》誌(1856‐87)の編集者として名を高めた。しかし63年のポーランド人の武装蜂起(一月蜂起)を契機に,以後はロシアの反動的民族主義者として支配階級と政府の政策を擁護した。…

※「ロシア報知」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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