日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロシチン」の意味・わかりやすい解説
ロシチン
ろしちん
Михаил Михайлович Рощин/Mihail Mihaylovich Roshchin
(1933― )
ロシアの小説家、劇作家。19歳で処女作を発表後『ノーブイ・ミール』誌などに辺境地域で働く青年の生態をリアルに描く作品を寄稿。ソルジェニツィン事件、チェコ事件では反体制的立場にたつ。1960年ごろから書かれた10数本の戯曲の評価は高くはあっても、検閲でかつては日の目をみなかった。公開された青春劇『ワレンチンとワレンチーナ』(1971)は、斬新(ざんしん)な劇形式で性、社会矛盾を大胆に取り上げ、国際的に反響をよんだ。「ペレストロイカ」(建て直し)と「グラスノスチ」(公開性)の時代を反映した話題作『真珠貝のジナイーダ』(1987)は、88年3月モスクワ芸術座訪日公演の演目の一つとして上演された。小説集『およそ20分』(1965)、『朝から夜まで』(1968)、『天国の24日』(1971)、児童劇『冬の虹(にじ)』、戯曲『旧正月』(1973)、『軍用列車』(1975)、『修理』(1975)などがある。
[中本信幸]