グラスノスチ(英語表記)glasnost

翻訳|glasnost

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラスノスチ」の意味・わかりやすい解説

グラスノスチ
glasnost

公開性の意。ソビエト連邦当局がもっている情報を一般に公開することで,民主化とならんでペレストロイカを支えた柱の一つ。ゴルバチョフは 1985年に書記長に就任した際グラスノスチの重要性に言及していたが,チェルノブイリ原発事故 (1986) をきっかけに本格化した。その目的は,ペレストロイカの障害となっていた保守官僚を批判するとともに,受動的な国民を活性化することにあった。『アガニョーク』,『論拠と事実』,『モスクワ・ニュース』などの新聞・雑誌が中心的役割を果し,ノメンクラトゥーラの不正や腐敗,国家保安委員会 KGBの違法活動からソ連社会の否定的側面まで明らかにされるようになり,禁止されていた多くの文学作品や映画も出版,公開されるようになった。特にスターリン時代の歴史の見直しも活発になった。グラスノスチは次第に言論思想の自由化へと拡大し,政府・党への批判も現れるようになった。グラスノスチによる市民の意識改革が,一党独裁の廃止8月クーデター阻止の原動力となったといえる。

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