ロマンセーロ(その他表記)Romancero

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロマンセーロ」の意味・わかりやすい解説

ロマンセーロ
Romancero

スペイン中世伝承民謡集。叙事詩の伝承が衰微したとき,その一部が断片化して伝承され,抒情的叙事詩 (ロマンセ) として民衆の間に流行した。その素材は中世の英雄佳人をはじめムーア人牧人にまで及び,15世紀にその最盛期に達した。黄金世紀古典劇,小説にテーマとして広く採用され,その伝統は今日にまで認められるが,国外でもイギリス,フランス,ドイツのロマン主義文学に与えた影響は大きい。版としてはアンベレス版 (1550) ,『ロマンセ全集』 Romancero general (1600~04) ,A.ドゥラン編のものが名高い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のロマンセーロの言及

【ロマンセ】より

…吟遊詩人によって伝播した中世の武勲詩(叙事詩)は,14世紀末から15世紀になるとジャンルとしての生命力を失い,しだいに忘れ去られることになるが,これらの武勲詩の中で民衆の心を強くとらえていた部分だけが全体の筋から遊離して人々の記憶に刻みつけられ,それが繰り返されたり,変形されたりして新たな様式の詩,ロマンセが生まれてきた。その集成をロマンセーロromanceroと呼ぶ。上述の過程を経て生まれたスペインの伝統的なロマンセのほかに,アーサー王と円卓の騎士,シャルルマーニュ(カール大帝)のスペイン遠征,あるいは〈辺境もの〉と呼ばれるモーロ人(イスラム教徒)とキリスト教徒の戦闘を題材としたものなどがあるが,成立年代によって,古ロマンセと新ロマンセに分類するのが普通である。…

※「ロマンセーロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android