ムーア人(読み)むーあじん(英語表記)Moor

翻訳|Moor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムーア人」の意味・わかりやすい解説

ムーア人
むーあじん
Moor

アフリカ北西部に住むイスラム教徒で、8世紀にイベリア半島を侵略し、そこに定着したベルベル人とアラブ人の混合民族。彼らが当時のモーリタニア地方からきたことから、ラテン語でマウリMauri、スペイン語でモロスMoros、英語・オランダ語ではムーアとよばれた(フィリピン南部に住むイスラム教徒に対しても同様に、スペイン人はモロとよんだ)。今日ではムーア人といえばモロッコ、モーリタニア(フランス語でムーア人の国の意)などアフリカ北西部に住み、イスラム教徒でアラビア語を話す人々全体をさす。また、ムーア人が人口の8割を占めるモーリタニア国民をさすこともある。ムーア人が黒人だという観念は、シェークスピア戯曲オセロ』によって誤って広められたもので、ムーア人は人種的にはコーカソイドの地中海集団に属する。ムーア人の多くはサハラ砂漠を基盤に遊牧生活を送っており、コブウシヒツジヤギラクダなどの家畜の飼育と交易生業の中心である。

[片多 順]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムーア人」の意味・わかりやすい解説

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