ローザンヌ国際バレエコンクール(読み)ローザンヌコクサイバレエコンクール

デジタル大辞泉 の解説

ローザンヌ‐こくさいバレエコンクール【ローザンヌ国際バレエコンクール】

スイスローザンヌ毎年行われるバレエコンクール。第1回は1973年。プロとしての活動実績がない15~18歳を対象としており、新人ダンサー登竜門と位置づけられる。

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知恵蔵 の解説

ローザンヌ国際バレエコンクール

毎年1月下旬から2月初旬頃にスイスのローザンヌ、ボーリュ劇場で行われるバレエ・コンクール。フィリップ・ブランシュワイグらによって創設され、1973年に第1回目が行われた。15歳~18歳の未来のダンサーを対象としたプロへの登竜門としてのコンクールで、プロダンサーを対象とはしていないのが大きな特徴。各段階で落選した参加者にもアドバイスが行われるなど「良いダンサーを育てる」という理念に基づいた運営が行われている。コンクール自体の国際的な知名度を高めるために決選を海外で行うことがあり、89年には東京で開催された。
日本人がこのコンクールをきっかけに世界の主要バレエ団で活躍するようになった例は多く、堀内元吉田都熊川哲也、康村和恵、中村祥子、加治屋百合子などが挙げられる。毎年NHK教育テレビで放映され、日本での知名度も高い。
近年はヨーロッパや旧ソ連圏といったバレエの長い歴史を持つ地域からの受賞者が減り、アジアや南アメリカなどからの参加者が受賞する割合が増えている。そうした「バレエ後進国」の若者でも、このコンクールでスカラシップ等を得て、バレエの歴史を持つ国で学びプロとして育つ機会を得られるようになっている。
2006年大会から、映像による事前審査が導入され合格した者しかローザンヌでのコンクールに参加できない、決選のフリーバリエーション廃止という変更が行われた(決選はクラシックコンテンポラリー・ダンスをそれぞれ選択肢の中から選び踊る形になった)。国の経済力によっての参加者数の不均等を修正すること、指導者による振付優劣にかかわらずダンサーとしての才能を見極めるためというのが理由であるようだ。
第39回大会は2011年2月1日~6日に開催。日本人では、5位の加藤清流(埼玉県・16歳)、7位の堀沢悠子(群馬県・16歳)がスカラシップを受賞した。

(菘(すずな)あつこ  フリーランス・ライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ローザンヌ国際バレエ・コンクール
ろーざんぬこくさいばれえこんくーる
Prix de Lausanne

スイス西部のローザンヌで毎年行われる国際バレエ・コンクール。15歳から18歳までのバレエ・ダンサーを審査対象とし、新人の登竜門として知られている。現地非営利法人の舞踏振興財団Fondation en faveur de l'art chorégraphique主催。プロを目ざす若手の支援を目的に1973年から開催されている。

 コンクール参加者は、ビデオ選考の後、古典(クラシック)部門と現代(コンテンポラリー)部門でそれぞれの審査を受ける。また、審査内容には審査期間に行われるレッスンの受講状況を含むなど、徹底して新人発掘を重視した運営がなされている。入賞のローザンヌ賞には二つの賞が設けられており、スカラシップ賞は、世界の名門バレエ学校へ1年間無償で留学資格が与えられ、その間の生活を支援する1万6000スイスフラン(日本円で約180万円)が贈られる。また、17歳以上の参加者が獲得できるプロ研修賞は、世界の著名バレエ団へ1年間研修生として参加する権利が与えられ、生活支援金として1万6000スイスフランが贈られる。このほかにコンテンポラリー賞、ベストスイス賞、観客賞がある。

 日本人の受賞者は多い。おもな日本人受賞者は、1983年(昭和58)の吉田都(みやこ)、1988年の中村恩恵(めぐみ)、1989年(平成1)の熊川哲也(てつや)、1993年の上野水香(みずか)、2012年(平成24)の菅井円加(すがいまどか)などである。2014年には二山治雄(にやまはるお)が1位、前田紗江(さえ)が2位入賞と上位を独占した。

[編集部]

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