改訂新版 世界大百科事典 「ロージャズ」の意味・わかりやすい解説
ロージャズ
Carl Ransom Rogers
生没年:1902-87
アメリカの心理学者。来談者中心療法あるいは非指示的カウンセリングの創始者。オハイオ,シカゴ,ウィスコンシン大学の教授を歴任し,アメリカ応用心理学会,アメリカ心理学会会長も務めた。彼は,来談者自身が本来成長欲求あるいは自己実現の欲求をもっており,適切な治療的状況が与えられるなら,自分自身で症状や不適応から解放され〈十全に機能する人間〉に近づくとみる。そしてそのような治療的変化のために必要な治療者の態度を重視し,治療者自身の自己一致,患者への無条件の肯定的関心,的確な共感的理解をあげた。ロージャズ自身は関心をしだいに個人療法から集団療法に移したが,彼が体系化した来談者中心療法とその人格理論は,心理専門家やその他の非医師専門家に急速に受け入れられ,患者のみでなく援助を求める人たちに対するカウンセリングの理論的な支柱となっている。
執筆者:児玉 憲典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報