集団療法(読み)シュウダンリョウホウ(英語表記)group therapy

翻訳|group therapy

デジタル大辞泉 「集団療法」の意味・読み・例文・類語

しゅうだん‐りょうほう〔シフダンレウハフ〕【集団療法】

group therapy患者治療者からなる小集団をつくり、談話などの相互作用を活用して行う精神療法

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精選版 日本国語大辞典 「集団療法」の意味・読み・例文・類語

しゅうだん‐りょうほうシフダンレウハフ【集団療法】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] group therapy訳語 ) 精神障害の治療を行なう一方法。治療を目的として作った患者集団に対して、互いの談話、音楽、絵画、共同作業のうちに患者の内省と自覚を持たせる精神療法。

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最新 心理学事典 「集団療法」の解説

しゅうだんりょうほう
集団療法
group therapy

3人以上の患者が一定の期間,決まった時間・場所に集まり,患者の個々の治療を目的として,治療の責任を負ったセラピストによって組織され,保護され,統制されるフォーマルな集団活動をいう。集団療法はこの枠組みのもと,集団の目的に添った治療構造を設けて進められ,メンバーの規模によって大集団(30~50人),中集団(10~30人),小集団(3~10人)に分けられる。歴史的経過から分類すると,サイコドラマの流れを継ぐもの,ヒューマニスティック・アプローチ主軸とするもの,集団自体の無意識の力動の集団精神分析を重視するものがある。その目的によって分類すると,心理教育的アプローチ,心理力動的アプローチ,対人関係的アプローチになる。集団療法は,集団のサイズ,その目的,活用される技法,活動内容によって異なった分類が可能であるので,ここでは実施される集団療法の目的による三分類に従って,それぞれの方法,セラピストの役割機能,プログラム例を示す。

 心理教育的アプローチpsychoeducational approachは,問題や症状を抱えている人びとに心理学の知識を活用した対処法を伝えて,心理的・社会的サポートを最大限に活用することを目的とし,プログラムには講義,討論,助言,問題解決技法の学習,宿題などのグループワークを構造化して組み込む。セラピストは,集団による相互支持的,協働的学習風土を醸成しながら,参加者の心理的支援と教育的支援を行なう。また,プログラムのテーマについて正確な知識と情報をもち,学びを促進するコーチであると同時に,症状や問題を経験している参加者自身の専門性ともいえる主体性を尊重し,関係の中に生きる同伴者になる。プログラムの例としては,生活技能訓練法(SST)や統合失調症の患者の家族集団などがある。

 心理力動的アプローチpsychodynamic approachは,生物学的,先天的要因を重視しながらもその心理学的意味を発達的,養育的観点からとらえ,自我機能の修正発達を促して,基礎的問題を抱えつつ同一性感覚を維持して個人として成熟することを目的として行なわれる治療的アプローチである。セラピストは集団の無意識の力動的分析と介入の能力を身につけていることが求められ,病理の背景になるパーソナリティの理解,対象関係における投映,転移,逆転移などの多層的理解に基づいたメンバーの発言・参加の支持,対象恒常性の体験と自我の適応的機能の学習を図る。集団は,病理や症状によって厳密に選定される。代表的なものとしてサイコドラマ,小集団精神療法などがあるが,実例としては,統合失調症者のグループ,物質依存・摂食障害の患者の集団などがある。

 対人関係的アプローチinterpersonal approachは,生物学的,先天的要因を認めながらも,患者の対人関係の問題と集団内で実際に見られる不適応なかかわりの改善に焦点を当てたものである。各セッションでは,「今・ここ」の相互交流に焦点を当てながら,患者の社会的孤立やその基になっている他者との交わりの困難さの問題への取り組みを支援する。このアプローチは実存主義的立場,ヒューマニスティックな視点がベースになっており,セラピストは,心理力動的人間理解,集団力動の理解に加えて,「今・ここ」での対人関係の理解と介入に長けている必要がある。セラピストの「今・ここ」での介入は,メンバー同士のかかわりへの支援だけでなく,集団における自他の役割機能の理解と適切な行動を取るための対人関係のモデルにもなる。 →家族療法
〔平木 典子〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「集団療法」の意味・わかりやすい解説

集団療法
しゅうだんりょうほう

グループ・セラピー

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世界大百科事典(旧版)内の集団療法の言及

【集団精神療法】より

…集団の中に家族や同胞葛藤のテーマを表現させる小集団から,操作可能な社会モデルを考えていく〈治療共同体〉までのさまざまなレベルがある。また,作業療法やレクリエーション療法のように,深い人格変容を目的としないものを単に〈集団療法group therapy〉と呼ぶこともある。集団精神療法家としては防衛的でないことが必要で,集団パニックに耐えられることが求められる。…

※「集団療法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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