改訂新版 世界大百科事典 「ローヤリスト」の意味・わかりやすい解説
ローヤリスト
Loyalist
アメリカ独立革命において,イギリス本国に対し忠誠であったアメリカ植民地人。トーリーToryとも呼ばれた。王党派とも訳す。植民地人口の約3分の1が親英派であったといわれている。地理的にも階層的にも広く分布していたが,南部のジョージア,サウス・カロライナではむしろ多数を占めていた。ローヤリストは勅任総督以下の植民地官僚,イギリス国教会の牧師,大地主,大商人,弁護士などの間に多いが,また同時に西部辺境地帯の貧困な農民の間にも多かった。彼らの多くは独立には反対であったが,イギリスの政策に必ずしも賛成していたわけではなく,本国と植民地との和解を望んでいた。1774年大陸会議で本国と植民地との連合案を提案したギャロウェーJoseph Galloway(1731-1803)はその一人であり,ローヤリストの優れた指導者であった。戦争勃発後は,ローヤリストでイギリス軍に投じ,あるいは民兵を組織して植民地軍に対して戦った者が約5万人といわれる。ローヤリストの財産は多くの場合没収され,本国やカナダに移住した者は約10万人といわれている。
執筆者:斎藤 眞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報