日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワイゼンボルン」の意味・わかりやすい解説
ワイゼンボルン
わいぜんぼるん
Günther Weisenborn
(1902―1969)
ドイツの小説家、劇作家。フェルベルト生まれ。反戦劇『潜水艦S4号』(1928)で世に出た。『母』(1931)はゴーリキーの小説の脚色で、ブレヒトとの共作によるもの。1930年アルゼンチンに移住。33年以後ナチスにより発禁処分を受けたが、匿名で発表した『ノイベリン』(1934)は大当りをとり、恋愛小説『ファーネーの娘』(1935)は41年映画化された。この間ニューヨークで新聞記者生活。37年帰国して反ナチス抵抗運動に加わり、42年逮捕され、敗戦まで獄中にあった。『備忘録』(1948)はこの間の記録である。戦後ベルリンでヘッベル劇場設立に参加。51年以後ハンブルク小劇場主任演劇顧問。抵抗運動を描いた悲劇『非合法活動の人々』(1946)など多くの作品を発表。一方、『三人の紳士』(1951)などの上演にあたり、舞台装置を用いず、もっぱら台詞(せりふ)による「場所無限定(オルトロース)の演劇」を唱えた。ほかに中国旅行の記録『揚子江(ようすこう)のほとり巨人は起(た)つ』(1961)がある。
[青木順三]