改訂新版 世界大百科事典 「ワジャク」の意味・わかりやすい解説
ワジャク
Wajak
インドネシア,東部ジャワのトゥルンアグン市,チャンプールダラットの近くの石灰岩断崖の頂上近くにある洞窟。欧文の旧綴りはWadjak。1888年にリートシュホーテンB.D.Reitschhotenが1号女性(?)人骨を発見し,90年にデュボアE.Duboisが2号男性人骨を発見した。これらの人骨がワジャク人と呼ばれる。2号人骨は大柄で頑丈である。脳頭蓋は大きく,頭蓋腔容積(脳容積より10%ほど大きい)は1650mlもある。顔面は幅広い。眉間の隆起が目立つ。デュボアは,これらの化石をホモ・ワジャケンシスHomo wadjakensisと命名し,オーストラリア先住民の祖先と考えたが,現在では否定されている。年代は,後期更新世ともいわれたが,分析が進んだ現在では完新世と考えられている。東アジアの化石人類の中では,港川人との類似性が指摘されている。
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報