出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…〈われわれの存するかぎり,死は存せず,死が現に存するときは,もはやわれわれは存しないのである〉。 死への恐れ,死後の不安から解放されるならば,それだけでも人間は〈平静不動(アタラクシアataraxia)〉の境地に入ることができるのだが,生きているうちは安んじて快楽を追求すべきである。〈快楽こそは幸福なる生活の始めにして終りなのである〉。…
…この態度は次代のエピクロス学派に続く。エピクロスとその学派は魂の平静(アタラクシアataraxia)を重んじ,健康で質素な共同生活を通して得られる精神的快楽を重んじた。彼の学園ではつねに快活な笑いとくつろいだ喜びが絶えなかったという。…
…移ろいゆく現象を永遠の実在と錯覚することから魂の苦悩が始まる。それゆえ,いっさいの判断を〈留保〉(エポケー)し,魂を何ものにもかき乱されない〈寂滅〉(アタラクシアataraxia)に導くことこそ人生の目的であり,人間の完成であるとした。後世の懐疑派がもっぱら認識論的批判に終始するのに対し,彼は魂の安らぎを求める実践的観点から懐疑を主張したのである。…
※「アタラクシア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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