アドバイタ(英語表記)advaita

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アドバイタ」の意味・わかりやすい解説

アドバイタ
advaita

インド六派哲学の一つであるベーダーンタ学派の説。不二一元論ともいう。絶対者ブラフマンは,いかなる限定も許さない絶対無差別の実在で,最高我とも呼ばれる。最高我は本体において個我と同一のものである。ブラフマンが現実世界に個別的な多数の個我として現れ出ているのは,無明 avidyāのためである。現象界の多様相も無明に基づくもので,勝義には存在しない。それは幻 māyāのごときものである。この無明はアートマンの本性を直観することにより滅ぼされる。個我と最高我の同一性を知れば解脱する。解脱の完全な境界において,個我はブラフマンと合一する。以上の説は,しばしば過去のインドにおける最大の哲学者と称されるシャンカラによって唱えられた。後継者たちは,無明の問題をめぐって論議を行い,いくつかの分派が生じた。

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世界大百科事典(旧版)内のアドバイタの言及

【不二一元論派】より

…インド哲学の主流を成すベーダーンタ学派中の最も有力な,シャンカラ(700ころ‐750ころ)を開祖とする学派。サンスクリットでアドバイタAdvaitaと呼ばれる。この派の哲学的立場は不二一元論(アドバイタバーダadvaitavāda)といわれ,ウパニシャッドの梵我一如の思想を踏まえ,宇宙の根本原理ブラフマンは個人の本体であるアートマンとまったく同一であり,ブラフマンすなわちアートマンのみが実在し,それ以外のいっさいは無明またはマーヤー(幻力)に基づき,あたかも幻影のように実在しない。…

※「アドバイタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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