一元論(読み)イチゲンロン

百科事典マイペディアの解説

一元論【いちげんろん】

世界の個々の事象,または全体の根源にただ一つの究極的実在原理)を認める哲学上の立場。C.ウォルフによって創始された用語で,二元論多元論に対して用いられる。哲学史上では万有の〈一者〉からの流出を説くプロティノス,〈産む自然〉としての一なる神を立てるスピノザ,同一哲学の提唱者シェリング形而上学的進化論者E.ヘッケルらが代表者。

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世界大百科事典 第2版の解説

いちげんろん【一元論 monism】

世界と人生との多様な現象をその側面ないし全体に関して,ただ一つの(ギリシア語のモノスmonos)根源すなわち原理ないし実在から統一的に解明し説明しようとする立場。単元論singularismとも呼ばれ,二つおよびそれ以上の原理ないし実在を認める二元論・多元論に対立する。哲学用語としては近世の成立であり,C.ウォルフが初めてただ一つの種類の実体を想定する哲学者のことを一元論者と呼んだ。すなわち,いっさいを精神に還元する唯心論,物質に還元する唯物論,精神と物質とをともにその現象形態とする第三者に還元する広義の同一哲学などは,すべて一元論に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一元論
いちげんろん

事象の哲学的説明において、唯一の究極的な存在、原理、概念、方法などを考える立場や傾向をいい、二つ以上の究極的なものを考える多元論と対立する。存在の始源として唯一の物質、神などを考える形而上(けいじじょう)学、宗教、神学の一元論、精神あるいは対照的に客観的実在を唯一の契機とみる認識論的一元論、行為における特定の要因を規範の説明において根本的と考える倫理的一元論、方法論的一元論などがある。

[杖下隆英]

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精選版 日本国語大辞典の解説

いちげん‐ろん【一元論】

〘名〙
① 特定の問題や現実の事象をただ一つの原理で説明しようとする考え方。
※硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉二七「彼は芸術一元論(イチゲンロン)を主張し出した」
② すべての事物は究極的な原理によって統一されており、すべてがそこから展開していくという世界観。スピノザの実体、シェリングの絶対者、ショーペンハウエルの意志などにおける哲学原理。⇔二元論多元論。〔新らしい言葉の字引(1918)〕

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世界大百科事典内の一元論の言及

【二元論】より

…一般に,根本的な実在を相対立する二つのものとして説く立場をいい,多元論の一種として一元論に対立する。原語は,イギリスの東洋学者ハイドThomas Hydeが《古代ペルシア人の宗教の歴史》(1700)で,善の原理と悪の原理とが永久に対立する宗教体系をこの言葉で呼んだことに始まる。…

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