アルス・マグナ(その他表記)Ars magna

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルス・マグナ」の意味・わかりやすい解説

アルス・マグナ
Ars magna

イタリア数学者 G.カルダーノ著書 (1545) 。ルネサンス期における代数学著作としては最も重要で,3次方程式の解法をはじめ,4次方程式の解法についても述べられている (ただしいずれもカルダーノ自身の発見によるものではない) 。その他,根と係数の関係,虚数を用いた根の示し方などが含まれる。また,この「大いなる術」を意味する語は,カルダーノ以前からすでに,代数学の別称として用いられていたが,それは 16世紀における代数学と魔術との親近性による。

アルス・マグナ
Ars magna

フランシスコ会修道士ルルス (1235~1315) は,布教上の要請からみずから普遍学と名づける「大いなる術」 Ars magnaを案出した。これはルルスの術といわれ,自明な基本概念や原理結合により,あらゆる真理を導出しようとするものであった。ルルスの考え方はルネサンス時代に広まり,さらに哲学者ライプニッツ (1646~1716) にも影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内のアルス・マグナの言及

【ルルス】より

… 当時マリョルカやイタリアのユダヤ知識人の間で盛んだったカバラ,イスラムの医学や占星術,アウグスティヌス的新プラトン主義などの影響を受けたと考えられるルルスの思想は,伝統的なスコラ学の知を大きく超える包括性と普遍性を備えていた。その端的な表れが主著《大いなる術(アルス・マグナ)》(執筆1273‐74?)などで提示され,〈ルルスの術(アルス・マグナ・ライムンディars magna Raimundi)〉として知られた技法である。これは,彼によれば〈真理〉に至るための無謬の術であり,神の属性の顕現としての万象についての知を一元的に集成すること,すなわち普遍学の樹立を可能ならしめるものであった。…

※「アルス・マグナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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