アロー号

日本の自動車技術240選 「アロー号」の解説

アロー号

資産家 村上義太郎にド・ディオン車の修理を任された矢野少年(工高4年生)は、自動車の研究を始め、自動車の設計にとりかかる。 手本RRのド・ディオン車であるが、これをFR式に改造し、イギリスの小型車(オースチン・ベィビィか)を参考として図面は出来上がる。 村上氏経営の工場を借り、ド・ディオン車の部品を有効に活用し、エンジンの製作には、九州大学の岩岡教授の指導により水冷2気筒とし、工作には大学の機械工場の協力を得ている。 気化器はフランスのゼニス点火栓ボッシュのマグネト、車輪タイヤはオートバイ用の流用し、1916年に完成する。世話になった人々を乗せたり、ナンバーも取得し、約2年間使用している。現在は矢野自動車に保管されNHKテレビで試乗状況放映された。保管場所矢野特殊自動車 (〒811-0117 福岡県粕屋郡新宮町大字上府字縫手1540-3 )
製作(製造)年1916
製作者(社)矢野 倖一
資料の種類試作品・設計図・文献
現状保存・非公開
車名アロー
会社名矢野特殊自動車
製作開始年1916
設計者矢野倖一
協力者村上義太郎
車種・用途小型乗用
実車所在/模型矢野特殊自動車
スタイルフェートン
ドア数2ドア
乗員4名
車両重量320kg
構造鋼とアルミ板
バンパーなし
ステップあり
全長2590mm
全幅1170mm
全高1525mm
タイヤサイズ゙3.00-25in700-80(グッドリッチ
特徴アルミ板ボディ手造り
フレーム鋼板、梯子型
前軸リジッド、横1/2リーフ
後軸リジッド、横1/2リーフ
軸距1830mm
前トレッドx後トレッド共に1000mm
車高調整なし
ステアリング丸ハンドル
ダンパーなし
スタビライザーなし
走行安定装置なし
特徴フォードT型に見習う
冷却/気筒配列水冷/2気筒直列
弁機構SV
気化器ぜニス
内径x行程98.9×88.9mm
排気量1054cc
点火系ボッシュマグネト製
最高出力/回転数10/12HP/1800rpm
排気浄化消音マフラーのみ
過給機なし
可変システム点火時期手動
特徴気化器、点火栓、タイヤは輸入品
ハイブリッドシステム形式なし
変速機MT3
駆動方式FR
モード燃費-
参考文献二玄社:カーグラフィック、1972年7月号、自動車技術会誌Vol21,No.11.1967年
その他事項シャシー重量:270kg;前照灯:なし、サイドランプ;ワイパー:なし;ウォッシャ:なし;足ブレーキ:センターブレーキ;手ブレーキ:リヤー・ドラム;燃料噴射:なし;比出力:9.5HP/L;最終減速:傘歯車デフ;最高速度:55km/h;

出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報

事典 日本の地域遺産 「アロー号」の解説

アロー号(現存最古の国産乗用自動車)

(福岡県福岡市早良区百道浜3-1-1 福岡市博物館)
機械遺産指定の地域遺産〔第36号〕。
矢野倖一(1892~1975)が1916(大正5)年に完成させた乗用自動車。現存する走行可能な国産乗用自動車としては最古のもの

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアロー号の言及

【第2次アヘン戦争】より

…アヘン戦争ののち,アロー号事件を発端として起こったイギリス・フランス連合軍による中国侵攻戦争。アロー戦争,アロー号事件ともいう。…

※「アロー号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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