過給機(読み)カキュウキ(その他表記)supercharger

デジタル大辞泉 「過給機」の意味・読み・例文・類語

かきゅう‐き〔クワキフ‐〕【過給機】

内燃機関で、吸入した空気を圧縮して気化器送り込む装置燃焼を増やし出力を高める。エンジンの回転力を利用する方式スーパーチャージャー排気ガスエネルギーを利用する方式をターボチャージャーとよんで区別する場合がある。

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精選版 日本国語大辞典 「過給機」の意味・読み・例文・類語

かきゅう‐きクヮキフ‥【過給機】

  1. 〘 名詞 〙 内燃機関で、吸入した空気を圧縮して気化器に送り込み、機関の出力を高める装置。予圧器。スーパーチャージャー。

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改訂新版 世界大百科事典 「過給機」の意味・わかりやすい解説

過給機 (かきゅうき)
supercharger

内燃機関では吸入する空気の質量重量)を増せば燃焼する燃料も増加でき,出力を増すことができる。この目的で,外気を圧縮し,空気の密度を増してシリンダーロータリーエンジンでは燃焼空間)内に導くことを過給といい,過給を行うために用いられる送風機あるいは圧縮機を過給機またはスーパーチャージャーと呼ぶ。過給機には,エンジンのクランク軸から歯車を介して機械的に駆動されるものと,排気タービンによって駆動されるものがあり,後者はターボチャージャーと呼ばれる。機械式は過給機の運転にエンジンの動力の一部が消費されるため,ターボチャージャーに比べるとその効率は劣る。このほか,特殊なものとして排気系の圧力波を利用したものもある。

 1920年代から競走用自動車などに機械式過給の適用例はあるが,実用期に入ったのは第2次世界大戦中で,軍用機における機械式過給が普及,さらにアメリカでは同大戦中にターボチャージャーの実用化にも成功し,高々度飛行が可能になった。その後ターボチャージャーによる効率的な過給がディーゼルエンジンにおいて普及し,とくに船舶用エンジンでは,無過給時代に比べるとその出力は3ないし4倍にも向上している。これに対して自動車用エンジンは,一般に運転条件(負荷,回転速度)が大きく変動するため効果的なターボ過給は実現しにくく,出力向上も30%程度であるが,アメリカではすでに大型自動車の大半はターボ過給エンジンを搭載している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「過給機」の意味・わかりやすい解説

過給機
かきゅうき
super charger

空気または混合気を圧縮して往復動内燃機関に送る送風機。スーパーチャージャーsuperchargerともいう。往復動内燃機関では吸入する空気量が多いほど出力は大きくなるので、同じ大きさの機関からより多くの出力を得る目的で、第一次世界大戦での飛行機用機関で実用化され、以後飛行機用の大型往復動内燃機関、高性能自動車用の機関、船舶用の往復動内燃機関で使用されている。過給機には回転羽根車のような速度型と噛合(かみあ)い歯車のような容積型があり、駆動方法としては直接機関で駆動するものと、排気タービンで駆動するものがあり、後者では速度型の過給機が用いられる。また排気タービンを用いるものでは排気のエネルギーを回収でき、熱効率の向上が期待できる。船舶用などの大型ディーゼル機関ではすべて排気タービン駆動の過給機が用いられ、自動車用などの小型のガソリンエンジンやディーゼルエンジンでも、一部で機関駆動のものと排気タービン駆動のものが用いられている。排気タービン駆動の過給機は、ターボチャージャーturbochargerともいう。

[吉田正武]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過給機」の意味・わかりやすい解説

過給機
かきゅうき
supercharger

航空機,自動車,船舶などの内燃機関の吸入空気圧を高めるため,圧縮空気を送る装置。ピストン式内燃機関は,その吸入行程で気筒容積に等しい空気-燃料混合気を吸入するが,圧縮空気にするとそれだけ流量が増大し,したがって出力も増大する。出力増大率は通常 30~100%に達する。高地,高空で空気が希薄なときも有効である。過給機は本来圧縮機で,エンジンの排気ガス圧を利用してタービンを原動力として駆動されるターボ過給機が最も一般的である。また,エンジンの動力の一部を利用して圧縮機を駆動する機械式過給機もある。航空機,自動車特に高地用自動車,舶用大型ディーゼル機関などに有効に利用される。

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百科事典マイペディア 「過給機」の意味・わかりやすい解説

過給機【かきゅうき】

スーパーチャージャーとも。内燃機関で,吸入した空気を圧縮して気化器に送り,機関の出力を高める装置。一定のシリンダー容積からより多くの出力を得る目的で,多くの燃料を燃やすのに必要な多くの空気を供給することを過給といい,このために大気圧より高い圧力の給気をエンジンに送る装置を過給機という。初め航空機用に開発されたが,今日では船舶や大型自動車に多用されている。排気タービン駆動のものは特にターボチャージャーと呼ぶ。
→関連項目インタークーラー

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