ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イタラ訳聖書」の意味・わかりやすい解説
イタラ訳聖書
イタラやくせいしょ
Itala Vetus
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古代ラテン語訳の聖書。『旧約聖書』のヘブライ語原文は、紀元前3世紀ごろからギリシア語に訳され、七十人訳(セプトゥアギンタ)といわれて広く使われていたが、前2世紀にこの70人訳からラテン語に翻訳したのが、このイタラ訳である。これはギリシア語からの逐語訳で、文学的でも、美文でもなかったので、5世紀にヒエロニムスはこのイタラ訳を改訂し、美しいラテン語に直した。これがブルガータ訳Vulgataとして、それ以後カトリック教会の公式訳聖書として使われるようになるが、それまでは、このイタラ訳がもっとも重要な聖書テキストとして、西欧カトリック教会で使われていた。ブルガータ訳のなかで、「知恵の書」「集会書」「バルク書」「マカベ書」はイタラ訳が採用されている。
[門脇佳吉]
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