バルク書(読み)バルクしょ(英語表記)Book of Baruch

改訂新版 世界大百科事典 「バルク書」の意味・わかりやすい解説

バルク書 (バルクしょ)
Book of Baruch

旧約聖書外典中の一書。エレミヤの従僕兼秘書バルクBaruchがバビロンで書いて捕囚民の前で読み,拠金とともにエルサレム同胞へ送った書簡体裁をとる。説教を含む懺悔(ざんげ)の祈り,知恵の賛歌,捕囚を嘆き救いの近いことを告げる慰めと励ましの歌から成る。原典は一部ヘブライ語で,一部ギリシア語で記された。前2,前1世紀に由来する性格を異にする各部分が,後70年直後に編集されたものと推定される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルク書」の意味・わかりやすい解説

バルク書
バルクしょ
Book of Baruch

ユダヤ教のいわゆるバルクの黙示録中の一書。第1神殿崩壊後バビロニアからパレスチナに送られた手紙の形式をとっている。ユダヤ教やプロテスタント諸教会は外典としているが,ギリシア正教,カトリック教会はこれを旧約聖書正典の一つとみなしている。著者とされているバルクはエレミヤ弟子書記であったが,本書自体は彼のものではなく,数人の著者の,しかもギリシア語,ヘブライ語で書かれたものを収集したものと推定され,上限は前2世紀中葉,下限紀元 70年とされている。長い信仰告白と祈り,知恵すなわち律法の称揚,生命の泉としての律法遵守のすすめなどが述べられている。

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世界大百科事典(旧版)内のバルク書の言及

【マムルーク朝】より

…しかし1347‐48年のペストの大流行によって都市と農村の人口は激減し,ナーシル没後は幼少の息子たちが相次いで即位したために,実権を握るアミールたちの抗争によって政局は混乱を極めた。 この機に乗じてチェルケス人マムルークのバルクークが政権を握り,ブルジー・マムルーク朝を開いたが,この時代のスルタンは家系によらず,有力アミールの選挙によって選ばれるのが慣例であったから,軍閥相互の勢力争いは一段と激しくなった。またペストの流行も相次いだために経済状態はさらに悪化し,エジプト市場から金貨と銀貨が消失して,やがて銅貨の時代が始まった。…

※「バルク書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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