改訂新版 世界大百科事典 「七十人訳聖書」の意味・わかりやすい解説
七十人訳聖書 (しちじゅうにんやくせいしょ)
旧約聖書のギリシア語訳の一つ。前3世紀中葉に始まり前1世紀までに,アレクサンドリア,パレスティナなどで徐々に翻訳され,改訂された集成を総称する。〈律法〉部分の翻訳については《アリステアスの手紙》に成立事情の伝承が残されている。〈セプトゥアギンタSeptuaginta〉(略号LXX,ラテン語で70の意)と呼ばれるのは,最初の〈律法〉の翻訳が72人の翻訳者によったことと関係するとする説と,〈70〉が旧約聖書で権威ある数を示すことによる〈権威的〉翻訳の意であるとの説がある。現在,ほぼ完全な形では,後4,5世紀のギリシア語大文字冊子本に残され,それらと後2世紀のパピルス本などが照合され,校訂版が出版されている。もっとも権威のある学問的校訂版は《セプトゥアギンタ・ウェトゥス・テスタメントゥム・グラエクム・アウクトリタテ・アカデミアエ・スキエンティアルム・ゲッティンゲンシス・エディトゥム》(通称《ゲッティンゲン・セプトゥアギンタ》)である。
執筆者:左近 淑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報